一緒に子育て 82 相談に行ける相手

先日、非行関係の事例検討会に出席しました。内容のおおよそは次の通りです。非行名は窃盗と無免許運転です。中学校3年男子A君です。家庭は共働きの両親と二人の兄がいます。兄二人とも過去に非行歴がありA君もその影響を多分に受けています。「バレなかったら悪いこともしてもかまへん」式の規範意識の希薄さがその象徴です。 

このケースへのアプローチはいろいろ話題になりましたが、両親への関わりについて触れたいと思います。どこにでもあるような問題はこの両親にも存在します。例えば、忙しくて子どもとの触れあいがないがその典型です。多くの家庭で思春期の子どもとの話し合い、触れあいがないのは良くあることです。また、親の性格上、思春期の子どもと時間を共にすることが苦手な親もいます。                 であるのに、よくこの種の事例検討会では、親はもっと子どもと日常的に接しなければならない、子どもの普段の生活(交友関係、遊び等)を把握しなければならない、子どもの不満を聞いてやらなければならない等の意見で、親の行動を改めることをが要求されます。もっと言えば、親は過去にそのような行動を怠ったから非行に走った、と親を責めます。これらはあまりにも正しい(正しすぎる)意見で誰も反論の余地がありません。まして自分の子どもが人に迷惑をかけています。

しかしながら、この考えを前面に出して親に接触しても、親の心情に響くでしょうか。親なりに一生懸命に子育てに励んできたのです。誰しもパーフェクトな親はいません。どこにでもあるようなことを拾い上げすぎる傾向があります。
如何でしょうか。「良くここまで子育てしてきはったですね」、で迫るのはどうでしょうか。事実、この両親は自分の(例えば、パチンコ、競馬競輪、飲酒等)にふけって家庭を顧みない、夫婦仲が悪くよくケンカをする等はありません。

この会で同時に共感できる意見で、見出しの「相談できる相手」がありました。子育て困難な時代に相談できる相手の存在は大切です。相談できる相手になれるのは、イエローカードやレッドカードを出す相手ではありません。先ず、今までの自分の努力も理解してくれることで、同じ土俵に上がれ、気持ちも和らぎ反省にも至り具体的な行動の変化にもつながります。
正しい意見を主張され、イエローカードを出される怖れの所には行きたくないです。

                                      臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一
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